アーティクルマネジメント推進協議会(JAMP:Joint Article Management Promotion-consortium)は、アーティクル(部品や成形品等の別称)が含有する化学物質等の情報を適切に管理し、サプライチェーンの中で円滑に開示・伝達するための具体的な仕組みを作り普及させることが、産業競争力の向上には不可欠であるとの認識に立ち、この理念に賛同する17の企業が発起人となって2006年9月に業界横断の活動推進主体として発足しました。
国際的な化学物質管理の潮流への的確かつ迅速な対応は、産業の競争力確保に不可欠となっています。例えば、ELV指令やRoHS指令への対応では法令遵守の責任主体である自動車業界や電気・電子業界が、独自の調達・調査の仕組みを構築し運用しています。現状の業界や企業ごとに異なる調査要求への対応は、製品を製造・販売する側の人的および経済的な重い負担を生じさせ、情報の信頼性低下という副次的な弊害が問題視されています。調査を依頼する側とそれを受ける側の双方が問題を抱えるこの背景には、アーティクルという「もの」が含有する化学物質等の情報を適切に管理し、サプライチェーンの中で円滑に開示・伝達するための仕組みがないことが問題と考えます。
化学物質(サブスタンス)や調剤(プレパレーション)においては、これらを販売する際に、ユーザへ付帯情報としてMSDSやMSDSplusを提供する仕組みが確立しています。化学物質やプレパレーションを用いて製造されるアーティクルに対しても、含有する化学物質等の情報を開示・伝達する類似の仕組みが存在すれば、既に運用されている調達・調査への活用、ひいては将来施行される法規制対応での負担や混乱を抑えることができます。現在、最も懸念される法規制の一つにREACH規則がありますが、この対応ではサプライチェーンの川上と川下の双方の情報共有が必要不可欠となり、もはや業界や企業単位で処置する対策の枠組みを超えています。一刻も早い時期に産業界の総意としての新しい仕組み作りが望まれる背景には、推進する活動主体の枠組みの拡張が必須になるというREACH対策の事情が強く影響しています。
JAMPは、上記課題を解決するために個別のミッションを掲げる4つ専門委員会を設置し、JAMPの目標達成に向けた活動を推進します。即ち、アーティクル含有化学物質を適切に管理するためのガイドラインを作成し普及を目指す「管理ガイドライン作成・普及委員会」、アーティクル情報記述シートの作成と普及を目指す「AIS作成・普及委員会」、アーティクル情報を共有・伝達するための情報基盤の在り方を検討する「情報基盤整備・推進委員会」および新たに構築する仕組みを広く普及させるための原動力としての標準化を目指す「AIS標準化推進委員会」です。JAMPはこれらの活動推進に加え、上記理念の実現に資する活動を推進します。
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